「あんなに重いものだとは思っていなかったので、ちょっとびっくりした」
これは、令和3年の大相撲初場所(1月場所)
幕内優勝をした大栄翔関のインタビューのコメントです。
初優勝した逞しい大栄翔関が、千秋楽の表彰式で驚いた重さのものは・・・
賜杯(読み方:しはい)のことです。
14日間の熱戦が繰り広げられ、幕内優勝を手にした力士のみに与えられる名誉の賜杯。
千秋楽では、中継で表彰式を観ることができるため、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
今回は、千秋楽で注目される賜杯についてのご紹介です。
その重さや種類、歴史などを私の視点で掘り下げていきたいと思います。
「大相撲の賜杯」重さはどのくらいあるの?種類は?
<大栄翔優勝!>
表彰式。
八角理事長より賜盃を受ける、大栄翔。#相撲 #1月場所 #初場所 #大栄翔 pic.twitter.com/qpsu02uNNo— 日本相撲協会公式 (@sumokyokai) January 24, 2021
千秋楽、幕内優勝力士に授与される賜杯。
その大きさはいったいどのくらいあるのでしょうか?
私は想像以上で驚きました。
今場所の千秋楽では、幕内優勝の表彰式が違う角度でも楽しめそうです。
賜杯には主なものとして、正賞となる「天皇賜盃」と「内閣総理大臣杯」があります。
ここで注目していただきたいのが“盃“と“杯“の違いです。
「天皇賜盃」は天皇から下賜されるため“賜杯“ではなく“賜盃“と表記されているようです。
天皇賜盃は純銀製で、高さ108cm・口33cm・容量36L(2斗)。
重さはなんと30kgもあるのだそうです。
30kgというと、小学校3年生(9歳)の平均体重と同じくらいです。
授与式ではまず国歌斉唱が行われ、最初に天皇盃から授与されます。
原則として理事長により授与されます。
天皇盃に続いて授与されるのが「内閣総理大臣杯」
こちらはなんといっても重さに注目です。
なんと、40kgを超えるそうです。
<千秋楽の様子>
表彰式。
安倍晋三内閣総理大臣より、内閣総理大臣杯の授与。#sumo #相撲 #大相撲 pic.twitter.com/PUX6hUwyEO— 日本相撲協会公式 (@sumokyokai) May 26, 2019
内閣総理大臣杯となっていますが、総理が土俵に上がることは稀で、大半は代理の方が渡すそうです。
私も大相撲中継で千秋楽を見ますが、代理の方が多い印象です。
40kgを超えるので、持つのはかなり大変そうです。
それを力士は、軽々と持ち上げているので凄いです。
他にも世界各国や地方自治体、関連企業などから、20種類以上のトロフィーや副賞などが贈られ、表彰だけで40分以上もかかるそうです。
なかなか知ることのできない?
私の目線でお伝えする、大相撲の千秋楽に行われる幕内優勝の表彰式についてトリビアでした。
「大相撲の賜杯」空襲との感動エピソード
江戸時代に、興行として大相撲が始まりました。
1909年(明治42年)に初代・両国国技館が完成します。
ですが、長い歴史をもつ大相撲も、戦争に翻弄されてきました。
力士や多くの協会員が戦地に行き、多くの被害を受けたのです。
1945年(昭和20年)に東京大空襲によって、初代・両国国技館は焼失してしまいました。
その際、我々大相撲ファンの胸を熱くするエピソードがあります。
当時、元十両の郷錦が国技館に駆けつけ・・・
天皇賜盃が入っている金庫を運び出し、火の手から守ったそうです!!
大相撲の賜盃は、力士には特別なものだと感じる秘話です。
この命を懸けた、勇気ある行動から守られた賜盃だと知ると、また歴史の重さも感じてしまいます。
大相撲の賜杯と優勝旗は返還されるの?返還式はいつするの?
千秋楽で授与された賜杯や優勝旗。
授与された賜杯・優勝旗はいったいどうするのでしょう。
実は、翌場所初日の幕内の土俵入り・横綱土俵入りの後に、天皇賜盃・優勝旗の返還式が行われます。
優勝力士本人から返還されますが、怪我や引退で優勝力士が返還できない場合は、部屋の師匠が代役をします。
天皇賜盃をはじめとする数々のトロフィーは、本場所開催中、入り口付近に展示され、誰でも観ることができるそうです。
幕内優勝力士には、その後レプリカが届くようです。
部屋に持ち帰るわけではないのですね。
これも、また個人的に勉強になりました。
皆さんも、大相撲の本場所に観戦される際にはロビーにも足を運ぶと楽しいかもしれません。
<初日の様子>
1階正面には賜杯や横綱・大関の等身大パネルがございます。 #sumo pic.twitter.com/zUQQOCX1Bu— 日本相撲協会公式 (@sumokyokai) March 10, 2018
「大相撲の賜杯」辞退された賜盃とは?幕内優勝力士“白鵬“千秋楽での涙に秘められたの理由も紹介します
2010年の名古屋場所では、野球賭博問題などの不祥事で、天皇盃をはじめ、幕内優勝力士に贈られる全ての表彰を辞退しています。
この場所では横綱・白鵬関が全勝で15度目の優勝を飾っています。
表彰式では表彰状と優勝旗のみが手渡され、例年なら40分以上かかる表彰式が、わずか5分で終了したそうです。
白鵬は「この国の横綱として、力士の代表として、賜杯だけはいただきたかった」と涙ぐんでいました。
あれだけの優勝回数を誇る白鵬でも、賜杯を手にすることは特別に名誉のあることなのでしょうね。
今場所は、どの力士がこの名誉ある賜杯を手にするのでしょうか。
我々ファンは、千秋楽まで楽しみですね。
(ライター:あんさん)