小兵力士ながら、めったに見られない「反り技」を得意とし、学生相撲時代から頭角を現わしていた宇良関。
角界入り前から、テレビ番組「マツコ&有吉の怒り新党」で“宇良和輝のマンガみたいな取り組み”が紹介され、相撲ファンの度肝を抜きました。
私も希少(マニアック)な、知らない決まり手が土俵で見事に決まるので驚きと感動を与えてもらっています。
ありがとう!宇良関!!
現在も話題となり、ご存知の方も多いかもしれませんが、レスリング仕込みのアクロバット相撲はプロ入りしても健在!
2度の大怪我で序二段まで下がった番付けも、懸命なリハビリと抜群の運動神経で、十両まで上がってきました!!
今回は、そんな珍しい決まり手で人気の宇良関について、ご紹介しようと思います。
“宇良和輝のマンガみたいな取り組み”がテレビで大注目!驚異の運動神経と多彩な技で、未知の決まり手連発の宇良関
“宇良和輝のマンガみたいな取り組み”が学生相撲時代から「マツコ&有吉の怒り新党」で話題! 入門前から人気者だった宇良関
入門前の学生相撲時代から宇良和輝は注目の的でした。
というのも、関西学院大学相撲部に在籍していた4年生のときに、話題の学生力士として、テレビ番組で取り上げられたからです。
それは、2014年6月25日放送「マツコ&有吉の怒り新党」という番組内容の1つ。
「宇良和輝のマンガみたいな取り組み」というコーナーでした。
その中で、当時アマチュア最強と言われていた力士をわずか5秒!!
「伝え反り(読み方:つたえぞり)」という技で破った大学3年生・宇良の取り組みが紹介されました。
立ち合いで相手の懐にもぐり込み、相手の脇の下をくぐり抜けながら、自分の体をイナバウアーのように後ろに反らせる。
それが「伝え反り」です。
相手に背中を向けて、目線は天井を向いている。
そんな体勢の技、私も見たことがありません!
相撲に興味のない人でも、これは面白い!
とくぎ付けになったに違いありません。
番組ではさらに、国際試合で勝ったときの「居反り(いぞり)」を取り上げ、学生相撲に小柄だけど、とんでもない技と身体能力を持った力士がいることを印象付けました。
かわいい宇良関(宇良和輝)の取り組みがトリッキーな理由は? 少年時代、相撲とレスリングで小柄をカバーする技を磨いていた
宇良関の取り組みはどうしてトリッキーなのか。
それは小学校3年生から中学3年生までレスリングを習っていたからです。
そういえば、今回の気になる大相撲調査で発見しました。
※私の個人的な好みです。
宇良関の立ち合いはいつも、相手の体の下に潜り込むスタイルです。
あれはレスリングと同じ。
尋常じゃない素早い動きもレスリング仕込みなんですね。
相撲は4歳からわんぱく相撲に参加。
高校進学で相撲部に入り、本格的に相撲に取り組みます。
高校入学時の宇良少年は身長152cm、体重52㎏だったそうで、クラスでも一番小柄だったといいます。
当時は稽古に参加していた小学生にも負けていたほどで、角界入りなど想像できませんでした。
そんな中でも相撲部の監督の指導で体幹トレーニングを積み、愚直に前に出る相撲を磨いていきました。
かわいい宇良関(宇良和輝)の取り組みにファンは喝采!体格差をものともしない!! 運動神経のよさで繰り出す多彩な技が話題に
運動神経にすぐれ「バック宙ができるお相撲さん」としても話題となった宇良和輝は、2015年3月場所で初土俵を踏みました。
木瀬(きせ)部屋への入門会見では「2年で関取に昇進したいです」と目標を口にしました。
本人は「大きなことを言ってしまった」と後悔したそうですが、初土俵からわずか7場所、史上4位タイのスピード出世で十両に昇進しました。
<国技館>新十両の宇良。十両に昇進すると稽古廻しが黒色から白色に変わるため、新しい自分用の廻しを買いに国技館に来ました。#sumo pic.twitter.com/9tJVgnptb1
— 日本相撲協会公式 (@sumokyokai) April 4, 2016
身長173cmですから、小兵(こひょう)と呼ばれる体格です。
それでも、足が誰よりも高く上がるバランスのいい美しい四股を見れば、鍛え上げられた体幹の強さ、体のしなやかさ、運動能力の高さがわかるというものです。
小兵が大きな力士を打ち負かす。
大相撲の醍醐味、無差別級の面白さを体現してくれる宇良関の取り組みは、毎場所、注目を集めるようになりました。
その後2017年の3月場所で新入幕!
2年で関取どころか、新入幕まで果たしたのです。
<本日番付発表:3月12日初日:大阪→https://t.co/yyLltyLBd9 >新入幕の宇良は、師匠の木瀬親方とともに大阪府の木瀬部屋宿舎で記者会見を行いました。西前頭12枚目に昇進した新番付を指さす。#sumo pic.twitter.com/uVbKKlCZtE
— 日本相撲協会公式 (@sumokyokai) February 27, 2017
宇良関(宇良和輝)の他には見たことのない取り組み4選! 得意技の「居反り」だけでなく、聞いたことのない決まり手も!動画もあります
《取り組み1:2017年夏場所千秋楽の大翔丸(だいしょうまる)戦》
立ち合いでいきなりバックステップを踏んで自ら土俵際まで下がった!
立ち合いは前に出て相手に当たる、そんな常識を覆し、後ろに下がって勝ちました。
《取り組み2:2017年初場所13日目の天風(あまかぜ)戦》
天風の左差し手をつかんで、脇の下に潜り込む。
腰を落とし、体を反って相手の巨体を土俵に沈めた。
決まり手「たすき反り」。
多彩な技を武器にする宇良関でも初めて決めた反り技でした。
《取り組み3:2020年11月場所5日目の旭秀鵬(とくしゅうほう)戦》 ※動画あり
アマチュア時代からの得意技「居反り」で、ついに勝利!
怪我で番付けを落とし、16場所ぶりに十両復帰した場所で、伝家の宝刀がさく裂しました。
《取り組み4:2020年11月場所14日目の東龍(あずまりゅう)戦》 ※動画あり
得意技「居反り」を狙ったが左下手がはずれ、背中で押して東龍を土俵外まで運んだ。
決まり手は「後ろもたれ」!
宇良関本人は狙った技ではなく、結果的にそうなってしまったと言っています。
宇良関(宇良和輝)の取り組みはアクロバット相撲?! 怪我から復帰し、炎鵬との小兵力士対決にも注目!!
トリッキーな動きは、「アクロバット相撲」と呼ばれ、宇良関の代名詞となっています。
しかし派手に見える取り組みは、小柄な体を補うためのほんの一面にしかすぎません。
大相撲は体重無差別のフルコンタクトスポーツです。
小兵力士が巨漢力士に勝つには、まともに当たっても勝ち目はありません。
体格のハンディキャップをレスリング仕込みの技と、抜群の運動神経で埋めているんですね。
2017年と2019年の右膝の大怪我で、宇良関の番付は序二段まで下がってしまいました。
怪我から復帰した土俵では、以前にもまして前に出る正攻法の攻めを心がけているように見えます。
怪我をした膝はまだまだ回復途上なのでしょう。
取り組み後、土俵を降りるときの足の運びは、ものすごく慎重です。
個人的な印象ですが・・・
不用意に片足に体重をかけないように、細心の注意をはらっているように見えます。
それでも関取に復帰した場所では、さっそく「居反り」、「後ろもたれ」の奇抜な技を放ち、宇良関らしい動きのよさを見せてくれました。
2021年3月場所では炎鵬(えんほう)関との十両での小兵力士対決が実現しそうで楽しみです!
立ち合いでどちらが先にもぐり込むのか?!
それともいつもとは全然違う立ち合いになるのか?!
私も、皆さんも、見逃せない一番になりそうです。
(ライター:松岡那知さん)